今知っておきたい!アース・オーバーシュート・デーとは

「アース・オーバーシュート・デー」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
アース・オーバーシュート・デーとは、人類が消費する生物資源*量が上限を超え、一年を通して地球が再生できるすべての生物資源を使い果たす日を示しています。

2021年のアース・オーバーシュート・デーは7月29日でした。つまり、その日以降、人類は地球という惑星のキャパシティを超えて生物資源を消費し続けていたということになります。資源不足の状態で残りの5か月間が過ぎていったのだと考えると恐ろしいですよね。

ちなみに、このアース・オーバーシュート・デーには地球単位の日付と国単位の日付があり、7月29日は地球単位のものです。

*生物資源とは、食料、衣料、薬品など人間の生活上に必要な資源として利用される生物のこと。通常、自然資源(または天然資源)(Natural Resources)と呼ばれることもあるが、厳密には自然資源には水資源や鉱物資源なども含まれるのに対して、生物資源は生物由来のもののみをさす。一般に生物資源は再生可能資源ではあるが、近年の過度な利用により、絶滅の危機(再生不可能)に瀕しているものも多い。(一般財団法人環境イノベーション情報機構の「環境用語」より)

アース・オーバーシュート・デーの算出方法

毎年発表されるアース・オーバーシュート・デーの日付は、グローバルフットプリントネットワークが決定しています。

アース・オーバーシュート・デーのコンセプトは、英国のシンクタンクであるニューエコノミクス財団のアンドリューシムズによって初めて考案されました。この財団は、2006年にグローバルフットプリントネットワークと提携して、最初のグローバル・アース・オーバーシュート・デーキャンペーンを開始しました。世界最大の保護団体であるWWFは、2007年からアース・オーバーシュート・デーに参加しています。  


地球のバイオキャパシティ**が人類のエコロジカル・フットプリント***を提供するのに十分なその年の日数を計算します。アース・オーバーシュート・デーは、地球の生物容量(地球がその年に生成できる生態学的資源の量)を人類のエコロジカル・フットプリント(その年の人類の需要)で割り、365を掛けてその年の日数を計算します。世界のエコロジカル・フットプリントとバイオキャパシティの指標は、毎年、ナショナルフットプリントとバイオキャパシティのアカウントで計算されます。国連統計を使用して、これらのアカウントには最新のデータと最新の計算方法が組み込まれています。

アース・オーバーシュート・デー=
地球の生物容量 人類のエコロジカル・フットプリントx 365

アース・オーバーシュート・デーは、1993年は10月21日、2003年は9月22日、2013年は8月20日と年々早まっています。1年の残りの日々は、人類が生態系サービスを赤字の状態で使い続けることになるため、人類が地球環境に与える負荷を「見える化」する指標として注目されています。
年々日付が早まっているということは、地球の赤字が増えていっているということなのです。

national footprint and biocapacity accounts 2021
参照:https://data.footprintnetwork.org

**バイオキャパシティとは、生物生産力と訳され、自然資本(エコロジカル・アセット)が生態系を再生産できる量のこと。生物生産力、つまり、人間が生活する上で消費する天然資源を生み出す地球の自然環境の生産力、生活する上で排出する二酸化炭素や廃棄物を自然環境の吸収・収容できる力のこと。一般的には[面積x生物生産効率]で表現される。(参照:https://note.com/t_numano/n/n6825675bee90)

***エコロジカル・フットプリントとは、人類が地球環境に与えている「負荷」の大きさを測る指標で、人類が使用する資源を再生産、及び廃棄物の浄化に必要な面積を表すもの。

人類が生物資源を消費する活動って?

それでは、私たち人類のどんな活動が「生物資源」を消費しているのでしょうか。
いくつかの代表例を挙げてみます。

森林破壊

自然の回復力を上回るスピードで森林伐採や焼失などが原因となり、森林面積が減少している現象。WRI(World Resources Institute、世界資源研究所)によると、世界の森林面積は約40億ヘクタール(ヘクタール:1万平方メートル)で、陸地の31%を占めていますが、そのうち30%はすでに消失してしまい、20%は消失の危機にあり、原生林のまま残っているのはわずか15%しかないとされています。人間の暮らしによって起きている森林破壊は、動物や植物などの生態系にも影響を及ぼします。


乱獲

鳥獣や魚類の野生動物、また、自然環境にある植物などの生物を無闇に大量捕獲すること。自然に再生する速度を超えて、過剰に獲り続けてしまうことを指します。必要以上の量を獲ってしまうと資源は枯渇してしまい、自然が元来持っている再生力も奪ってしまいます。 人類の勝手な都合で行われている乱獲は、自然界の生態系を壊しているのです。


オーバーファーミング

特に、過剰に何かを耕作する行為や実態のことを言います。作物の栽培において土地を過度に耕作する行為や慣行によって、土壌の質が低下し生産性を低下させています。作物が途切れることなく何度も農地で栽培されると、進行中の農業が土壌の栄養を枯渇させ、土壌の全体的な健康と肥沃度を低下させます。これは土壌の滅菌につながり、それによってその土壌では何も成長できなくなる可能性があります。


温室効果ガスの排出

二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスは、元々大気中に僅かに存在していて、太陽からの熱を地球に封じ込めて地表を暖める働きがあります。ところが、人類の活動によって主に温二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンガスが増加し、およそ14℃に保たれていた地球の平均気温が上昇し続けています(地球温暖化)。


1970年からずっと地球は赤字です


毎年、アース・オーバーシュート・デー以降、私たちは消費してもよい限度を超えた資源を使いながら生活していることになります。1970年以降ずっと地球は赤字です。しかも、アース・オーバーシュート・デーは年々早まっています。2021年は7月29日でした。その日から約5か月もの間、地球上で限度以上の資源の消費活動が行われ続けているということです。

2022年はどうなるのでしょうか。間もなく公表されるはずですが、各国単位の日付は発表されました。


2022年の日本のアース・オーバーシュート・デーは5月6日です。これは、2021年から変わっていません。
あまりにも早いので衝撃ですが、わずか5か月で上限を超えて資源の消費をしているのが現状なのです。残りの日々は、本来使ってはいけない資源を消費して地球を破壊し続けています。

「資源に対する日本人の需要を満たすために、日本が何個分必要か」

EARTH OVER SHOOT DAYでは、2022年版のNational Footprint and Biocapacity Accounts(2018年のデータを使用)を使ってこんな計算もしています。

下の図を見てください。もし現在の日本の消費活動に必要な資源全てを日本国内で賄うと仮定した場合、日本7.9個分が必要になるという計算です。もちろん日本は1つしかないので、残りの6.9個分は他の国からの資源を使っていることになります。

今すぐ、できることから行動しよう

地球資源の枯渇を避けるために、国や企業だけでなく、私たち個人でも今すぐできることがあります。

持続可能な未来を創るために、できることは何か。
それを知るために、現在の生活様式でどの程度自分が資源を使っているのかを知ることが大切です。

STEP1 フットプリント計算ツールで自分のフットプリントを計算する
下記のツールで、ご自身のフットプリントを計算してみましょう。ツールによって結果に差が出ることがありますが、ご自身の生活を見直すきっかけになり、一つの判断材料になります。

Global Footprint Networkのフットプリント計算ツール (日本語はなし)

エコロジカル・フットプリント・ジャパンのフットプリント計算ツール(日本語)

STEP2 フットプリントの内容を確認して、自分にできることを考える
計算ツールに情報を入れていくと、自分にできることが見えてくると思います。

例えば以下のような課題が見えてくるので、それぞれが取り組めることから始めると良いですよね。

◎ 加工食品や動物由来の食材を減らす
◎ 電力会社を変える
◎ 移動手段を徒歩や自転車にする、シェアリングを利用する など

今すぐ、できることから行動して持続可能な未来を創造する努力をしていきましょう。

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